廃棄物処理をビジネス・チャンスに
インデックス
日本の1人当たりのごみ排出量は1日当たり約850g。これは先進国の中では、最も少なく米国の約3分の1であり、世界平均をわずかに上回る程度です。
それでも今なお、日本の廃棄物処理には高額の費用が投じられています。日本政府は、一般廃棄物の処理に年間約2兆3000億円(約150億米ドル)を費やすほか、排水処理、災害廃棄物の管理、リサイクルへの投資などのコストも支出しています。また、民間部門でも、事業系一般廃棄物と産業廃棄物を処理しています。市場規模は、全体で年間約8兆円(約500億米ドル)にのぼると見られています。
ごみをできるだけ効率的かつ環境に配慮した方法で処理するために、日本は長年、焼却を重視してきました。焼却率は世界でもトップレベルです。一般廃棄物全体の70%以上が焼却され5分の1がリサイクルされているため、埋立処分はわずか8%に留まっています。一方、米国では依然としてごみの半数以上が埋め立てられており、世界平均でも埋立率は50~70%に達しています。
そのため、日本全国で1,000基以上の焼却炉が稼働しています。過去25年間で焼却炉の数は40%減少していますが、これは地方の小規模施設が人口密集地近くの大規模施設に集約されたためで、実際の処理能力は増加しています。これは、高効率化のニーズだけでなく人口動態の変化も反映された結果です。
強固な基盤の活用
先進的な廃棄物焼却発電施設の設計・建設・運営は、三菱重工環境・化学エンジニアリング(MHIEC)の中核事業です。当社は、半世紀にわたってこの事業を専門としてきました。加えて、排水処理で生じた汚泥を処理する下水汚泥処理プラントや、海水を大量に使用する施設、例えば海水淡水化プラントやLNGターミナルなどへの藻類や貝類の付着を防ぐ独自のシステムも提供しています。

現代の焼却施設は、非常に優秀なインフラ施設です。高度に自動化された運転と最小限の人員で、焼却による灰の減容化、排ガス処理、スラグの再資源化などの環境対策を徹底しています。また、焼却時の廃熱で発電した電気を場内設備の運転に利用し、余剰分は電力網に売電しています。現在、日本の焼却施設の約40%が発電を行っています。
こうした施設の建設工事には最長で5年程度かかるものの、耐用年数は長く最低でも25年、設備の更新やきめ細やかな保守点検によって45年まで延ばすことも可能です。MHIECでは、地方自治体のお客様向けに一連の運用・保守サービスを提供しており、当社の売り上げの60~70%を占めています。
当社は、廃棄物焼却発電施設の安定した運転実績に加え、最先端のプラント建設技術、官民パートナーシップ(Public-Private Partnership:PPP)方式による世界最大規模の施設の運転実績も有しています。これにより、国内での廃棄物焼却発電施設のリーディングカンパニーであるだけでなく、海外でも成功を収めてきました。1986年に初の海外案件としてシンガポールの「チュアス廃棄物焼却発電施設(Tuas Incineration Plant:TIP)」を納入して以来、シンガポールではこれまで計4基を納入しています。また、2021年には最新のチュアスワン(TuasOne)廃棄物焼却発電施設も稼働開始しています。その結果、シンガポールでの市場シェアは、政府所有または契約の稼働中施設の焼却能力ベースで約90%に達しています。
これまで当社は、日本国外において30基以上の廃棄物処理施設を納入しており、その多くは東南アジア向けです。欧米市場は地元の企業が存在感を有しているため、当社がターゲットとするのは、台湾、韓国、中国(技術ライセンス提供による)など主に東アジアの市場です。日本市場の成長は主に更新需要によるものですが、世界の廃棄物焼却発電市場は少なくとも2034年まで年6%の堅調な成長が見込まれています。
さらにスマートでクリーン、環境に優しく
MHIECは、これまでの経験と三菱重工グループという大企業の一員であることの利点、そして何よりも独自の技術を活かして、市場の安定した成長の恩恵のもと、シェアを拡大できると考えています。近年、当社が開発したV型ストーカ(特許取得済み)が、商用運転を開始しました。ストーカは焼却炉の心臓部です。この最新型ストーカは、火炎が安定し、多種多量な廃棄物を効率良く燃焼できるため、特に低カロリー廃棄物に適しています。
また当社は幸いなことに、三菱重工グループ各社と連携し、お客様のニーズに対応することができます。現在、三菱重工グループが開発したCO2回収システムを横浜市のごみ焼却工場で共同実証しています。また、東京都下水道局向けに、三菱重工グループの一員でイタリアに本拠を置くターボデン社(Turboden S.p.A)の高効率有機ランキンサイクル発電システム(Organic Rankine Cycle: ORC)で発電する汚泥焼却設備建設工事を受注しました。
同時に、自社の独自技術や人工知能(AI)の積極的な活用により効率化を進め、将来の労働人口不足にも備えています。当社のAI遠隔監視・運転支援システム「MaiDAS ®」は、国内およびシンガポールの約20施設に導入されており、運転の省人化が期待できます。昨年12月に横浜本社に開設した遠隔運用センターでは、お客様の施設を常時監視し、リアルタイムで支援しています。
さらに、三菱重工のシェアードテクノロジー部門と共同で行っている研究では、ごみ収集の改善や、将来的な自動化を目指す取り組みにも期待を寄せています。ごみの収集と運搬という単純な工程だけで、一般廃棄物管理の総コストの30%近くを占めているからです。これを大幅に減らすことができれば、当社に有利な市場を切り開くことができ、日本での大幅な売上拡大につながるでしょう。また、海外での成長の後押しにもなります。
世界経済の発展により埋立処分から焼却に移行する国が増加している背景により、当社が恩恵を受ける素地は整っています。こうした進展を踏まえ世界各国が廃棄物問題に取り組む中、MHIECは今後も成長し続けることを確信しています。
詳しくはこちら 三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社