若手エンジニアへのアドバイス:EQを高めることが、あなたの成功につながります
三菱重工アジアパシフィック(MHI-AP)のChief Operating Officer Jay H.Wadhwani氏に若手エンジニアへのアドバイスとして、自身のキャリアや、これまで自分を助けてくれた人々とのエピソード、そして、自身の成功の鍵となったEQの重要性を語ってもらいました。
私が若手エンジニアに一番伝えたいのは、EQ(Emotional Quotient)を高めてほしい、ということ。「心の知能指数」とも言われ、他者との関係を築く能力です。新人エンジニアが良いキャリア、私生活を築く上で間違いなく役立ちます。そして幸い、この能力は後天的に身に付けることができます。
高いEQを持つ人は、自分の感情を積極的に理解し、利用し、制御し、効果的にコミュニケーションをとり、他者に共感し、状況管理を行うことができます。私はこうした能力を自身のキャリアを通じて養ってきました。プロジェクトマネージャーとして、そして幹部として、かけがえのない能力だと思います。
人を巻き込んで問題を円満に解決する能力が企業から高く評価されることを、すぐに理解しました。
私は、父親から受け継いだのだと思いますが、幼い頃から人付き合いは得意な方でした。父は機械技師で、私は小さい頃、父の跡を継ぎたいと強く思っていました。父の影響で幼い頃から物の仕組みに興味を持ち、いつもおもちゃを分解して、内部の動きを調べていました。(元に戻せなくなってしまうこともありましたが...。)
少し大きくなってからは、自転車を分解することに興味が移りました。
私は今、工学の世界で働いていますが、エンジニアではありません。大学で工学を専攻し、父の後を追って石油・ガス業界に入りましたが、プロジェクトマネジメントという道を見つけたことでキャリアは一転しました。父譲りの社交性を身につけていたので、最初からプロジェクトマネジメントが好きで、適任だったのです。そして、人を巻き込んで問題を解決する能力が、企業から高く評価されていることをすぐに理解したのです。
工学の世界に入る若者へのアドバイス
忍耐力を持ってください。成功は一夜にして実現することはなく、多大な労力を要するものです。ただし、チャンスはいつ訪れるか分かりません。チャンスと出会ったら確実にものにしてください。1つ逃せば、次のチャンスが訪れるのは何年も先になってしまうかもしれません。
謙虚さを忘れないでください。他人から学び、敬意を持って接してください。成功は、志と謙虚さの間の微妙な一線に横たわっています。この道を踏み外さずに歩み続けるのは、容易なことではありません。
長期的なプランを立ててください。どこへ行きたいのか、どのように行くつもりなのか、しっかり把握してください。途中でコースを修正することもありますが、あなたの志と将来の目標の青写真として、必ずプランが必要です。
私は、事業担当執行役員になることを目標にして、到達までの道筋を定めました。途中で何度もプランを変更しましたが、目標は変わることなく、周りの人の助けも得て実現しました。そして今は、キャリアの次のステージに向けて、引き続き新たなプランを立てています。
良き師を見つけましょう。キャリアの初期、私は忍耐力に欠けていましたが、才能を育む手助けをしてくれたり、上級職に就くための教育を行ってくれたりした素晴らしい師に恵まれました。師は、あなたを導き、自身の経験に基づいた有益な知識を与えてくれます。
私が非常に尊敬していた幹部が、ある時アドバイスをしてくれて、それが私の全体的な見通しを変えてくれました。20年か25年ほど前のことでしたが、今でもはっきり覚えています。「ジェイ、今、自分の皿の上にあるものに集中しなさい。先は先でなんとかなる」。もちろん、彼の言う通りでした。今どれだけ良い仕事をしているか、ということだけがあなたの本質を明らかにし、良い評価を受けることになるでしょう。
心と頭の両方を使ってください。あらゆる考え方の人々を理解し、交流することが成功の鍵です。
人との関わりを大事にしてください。もしあなたが、生まれつき高いEQを身につけていれば、それに越したことはありません。例えそうでなくても、本や講座から学ぶことができます。
心と頭の両方を使ってください。あらゆる考え方の人々を理解し、交流することが成功の鍵であり、プロとしてのネットワークを築くことに大いに役立ちます。
人脈づくりは、社内でも社外でも大いに役立ちます。私はヨーロッパで9年、アジアで10年生活し、仕事をしてきた中で、たくさんの才能ある人たちと出会いました。今でもその人たちとの付き合いは続いています。何かあった時、電話一本で彼らの助けを得ることができるのです。