若手エンジニアへのアドバイス:グリーンテクノロジーの進歩を追い風にしましょう
私はよく、キャリアをスタートしようとする若手エンジニアに向けたアドバイスを求められます。いつも答えるのは、「グリーンテクノロジーを追い風にすること」。飛躍的な成長を遂げているこの分野は、持続可能な未来をつくるための一翼を担うチャンスが広がっており、若手にとっては非常に刺激的な環境です。
キャリアの選択は、我々が最初に直面する最も難しい決断です。自分の選んだ分野がどう変化していくのか。数年先の世界はどうなるのか。そこで自分がどう適応し、成長していくのか。目の前には、先の見えない未来が広がっているのですから。
私の場合、父の友人に土木技師がいたことが、キャリアの選択を楽にしてくれました。それまで私は、エンジニアに会ったことも、自分がエンジニアになることも考えたこともありませんでした。そんな私に彼は、工学の学位がどの分野でも評価される、まるで超能力のようにすぐれた問題解決能力と批判的思考力を与えてくれることを教えてくれました。「何だってできる」と彼が私に言ってくれたことで、私は工学の虜になったのでした。
エネルギー産業は、私が初めて足を踏み入れた15年前と今とでは様変わりしましたが、その中で私は、彼の話が正しかったことを何度も実感しました。業界の大きな変化とともに、私はさまざまエネルギー分野を渡り歩きましたが、初期に学んだ分析スキルは、それぞれの新しい環境に適応するために非常に役に立ったのです。
苦労して取得した工学の学位を武器に、私のキャリアは石炭関連のビジネスから始まりました。産業を取り巻く地域社会について学び、石炭火力発電所の複雑な問題に取り組んできました。シェールブームが到来すると、私もその流れに乗って、天然ガスに携わるようになりました。その後、持続可能なエネルギーへの移行が進む中、私はさまざまな形態のエネルギー貯蔵について学び、太陽光発電プロジェクトに取り組みました。今日では、ネットゼロエミッションの追求はさらに加速しており、持続可能性の問題が業界の最重要課題となっています。
これからこの分野に参入しようとしている方、またはキャリアとしてエネルギー分野を検討している方は、グリーンテクノロジー革命が、今が足を踏み入れる絶好の機会であることにすぐ気付くことでしょう。次世代のエンジニアは、新たな水素ソリューションの開発から脱炭素化に向けた取り組みの推進まで、イノベーションを渇望する産業の一翼を担うことになります。エネルギーだけではなく、社会全体に大きなインパクトを与えるチャンスなのです。
では、このチャンスをどうやって掴めばよいのでしょうか。ここに3つのアドバイスを贈ります。
1 - 学位に縛られすぎず、自分自身で将来を選びましょう。機械系、電気系、化学系など、どの分野からキャリアをスタートしたとしても、それによって将来のキャリアパスを狭めてしまってはいけません。また、目標を達成するためには進路変更することも、柔軟に考えてください。
2 - 工学は、問題解決だけを目的としているわけではありません。経済性についても考える必要があります。エンジニアは学校で、問題に対してさまざまな解決策を考え出す方法を教わりますが、最も大切なことを教わっていません。それは、最小のコストで最大の利益を達成することです。優れたアイディアであっても、環境へのコストを含め、コスト効率の悪いアイディアは採用されません。
3 - 新しいテクノロジーは、政治・社会との関係性が不可欠で、かつ、世間に受け入れられる必要があることを理解してください。技術の社会的な側面を理解する、ということです。たとえば、信頼性が高く手頃な価格ではあっても、環境に良くないソリューションがあったとします。そんなとき、信頼性・価格・環境の3つの要素すべてのバランスを取る方法を、エンジニアが見つけ出す必要があるのです。
これからのエナジートランジションには、若いエンジニアの力が絶対に必要です。私がエンジニアを志すきっかけとなった「何だってできる」という考えに立ち返ると、エネルギー産業は今まさに、この言葉の正しさを証明しています。
脱炭素化は、私が初めてヘルメットを被る前から議論の的になっていましたが、今ようやく大きな進歩を遂げています。当時、水素経済というアイディアは夢のようなものでしたが、今は実現に大きく近づいています。
グリーンテクノロジーはあらゆる面で、私たちの住む世界を変えつつあります。そして、新世代のエンジニアの1人として、あなたはこの重要な変化の一翼を担うことができるのです。とはいえ、それは簡単なことではありません。この先、克服すべき困難は山積しています。ですが、その見返りはとてつもなく大きいものです。それだけ地球の環境は、危機に瀕しているのです。
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